LECTURE

中学特別文化講演会 文部科学大臣補佐官 鈴木 寛氏

2017/08/01

「300年ぶりの激動の時代」がやって来る

 

皆さん、こんにちわ。ご紹介いただきました鈴木です。スズカンと覚えていただければと思います。

今日お話しするのは「二十二世紀まで生きる君たちへ」というメッセージです。ところで、君たちはこれから先、何歳まで生きると思いますか?(会場内ざわめく)

80歳以上と思う人、手を挙げて。じゃ、90歳以上。100歳以上。110歳。120歳…おお(笑)!ありがとう。

私は以前、文部科学副大臣だった頃、内閣官房に「メディカルイノベーション推進室」をつくったり、京大iPS細胞研究所をつくったりしてきました。そうして医療にも関わる中、関係者の間でいわれるようになってきたのは、今後女子は半分以上が100歳まで生きる、男子は微妙で半分止まりかな。でも、君たちの相当数が2100年まで生きるという話でした。

そんな君たちのこれから生きる85~100年はどんな時代なのか。イギリスで産業革命が起こり、近代社会が生まれた18世紀半ば、1750年頃から数えて君たちが人生を生き抜くことになる2040~50年頃は300年ぶりに歴史の大変化が起こる時代、激動の時代だといわれています。日本ではちょうど来年が明治維新、1868年から150年目にあたりますが、この間に常識とされてきたことが成り立たなくなる時代だともいわれています。

「300年ぶりの激動の時代」ですが、実は君たちはラッキーな世代。新しい時代に向けた教育を先取りして、いちばん最初に受けられる世代だからです。これからどんな時代がやって来るのか、興味を持ってみんなで考えて、いろいろと調べて、チャレンジしてきた人にはチャンスの生まれる時代でもあります。一方、問題意識を持たずにボーッとしてきた人は、同じ学校にいても友だちと大きな差がつく、そんな時代がやって来ます。

20世紀は工場で同じモノを大量生産し、従業員はお手本どおりに正確に仕事をすればよい時代でした。こうした仕事の仕方は日本人が得意とするところだったので、特に1980年代には日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」、世界一だと賞賛されました。

しかし、コンピュータやロボットが登場してきたことで状況は一変。マニュアルどおりに早く進める仕事は徐々に人間の仕事ではなくなり、代わりに新しいものをつくる。つまり創造性、クリエイティビティの必要な仕事が人間の仕事の中心になっていきました。

大量生産はゴミを大量に出したり、エネルギーを大量に使ったり、二酸化炭素も大量に放出したりするため、環境問題や副産物の問題がしばしば取り上げられてきました。なので、これからはこうした問題を解決したり、新しいものを創造したりできる社会へ変えていこうという流れになり、大量生産の時代は間もなく終わろうとしています。

今年、AI(人工知能)が囲碁の世界チャンピオンになったことからも、近年のテクノロジー、AIの進化には凄まじいものがあります。2045年にはAIが人間の知能を上回るという「シンギュラリティ」(技術的特異点)の問題をよく耳にするようになりましたが、そのインパクトはもの凄く、AIが今ある人間の仕事の47%に置き換わるといわれています。

IoT(インターネット・オブ・シングス)ですべてのモノにインターネットのアドレスが付き、機械と機械が勝手にコミュニケートする時代。たとえば、スマートウオッチを身に付けているだけで心拍数が測られ、データがクラウドサーバーに自動的に送られたり、学校の先生がPepper君みたいなロボットになったりする時代ですね。