【特集】世界大会総合第2位 物理部チーム「Re_X」インタビュー2

2022.02.26 学園通信

(【特集】世界大会総合第2位 物理部チーム「Re_X」インタビュー1から続く)

 

<日本大会終了後のインタビュー>

2021年4月23日 高校本館

優勝は、このチームメンバーだったからこそ

日本大会での総合第1位、優勝、おめでとうございます。受賞したWorld Leagueサッカー Light Weight部門の競技ルールを簡単に教えてください

帯刀 人間のサッカーと同じで、相手チームのゴールにボールを押し込めば得点です。コート上に引かれた白線から出ると30秒間退場のペナルティが課せられます。ロボットは4人で2台、自律型で人が操作できないようになっています。

杉森 今年はオンラインだったので、ロボット同士の対戦はなく、技術の蓄積を競う大会でした。

サッカー競技の魅力はどんなところにありますか?

  ロボットをまったく知らない人でも楽しめる、ルールがわかりやすいところでしょうか。

杉森 ロボットの作り方がわからなかった最初の頃は、ただただ凄い大会にうちの部が出ているんだなあと感心していました。でも、ロボットの動かし方が段々とわかってきてのめり込むようになりました。

西  ロボット自体の動きがとてもスピーディですね。それで、大会は勝つことよりも他の参加者と交流することが目的だと感じます。大会を通じてスーパー高校生に出会うと、「勝てるかな?僕たちはまだまだだなあ」と、刺激を受けます。

地区大会から日本大会出場までの間の、苦労話を聞かせてください。

帯刀 ロボットはモーターとタイヤを直接つなぐわけではないんです。モーター出力を変換して、スピードとパワーのバランスを最適にしたうえでタイヤに伝える。このバランスを調整するのがギヤボックスで、僕たちはタイヤの中にギヤを埋め込んで自作しました。歯車を3Dプリンタで作製し、市販のものよりも軽くてコンパクトな、世界にも類を見ないギヤボックスを作れました。他チームにはギヤボックスが重くてモーターに重量制限のかかっているところもありましたが、僕たちは重量制限内で使えるパーツが増えて可能性が広がりました。

杉森 パーツを3Dプリンタで製作するには時間がかかります。大きなパーツならば10時間、翌朝まで刷っている時がありますね。それで、自宅に用意しました。部活が済んで帰宅した後、特に中止になった阪神ブロック大会の前までは、自宅で刷りまくっていました。

西  阪神ブロック大会がなくなったと聞いた時は、家に帰ってから泣きました。オンラインでいいから出場したい!と。3〜4年もやってきたロボカップへの思いが強く、誰とも戦えなかったことが精神的に辛かったんですね。

結果的には日本大会へ出場できましたね。オンライン開催となった日本大会には、どんな大変さがありましたか?

杉森 まず、どんな大会になるのか、当日までわからないという怖さがありました。モチベーションの維持が大変でした。

西  2分間のビデオ、B4のロボット説明プレゼンシート、当日のインタビュー…プレゼンではありったけの情報をブチ込みました。シンドイと思える程の情報量(笑)。

杉森 日本大会用の動画とシートは大会1週間前に提出せよ、と発表されたのが大会1カ月前。必死でやりました。

帯刀 動画を大慌てで作りました。ビデオ撮影当日にも、プログラムを書いていましたね。

西  大会当日はめちゃくちゃ緊張しました。想像していた以上でした。質疑応答中に褒められて、ようやく「伝わった!」と(笑)。

優勝を知った時はどんな気持ちでしたか?

西  高2の時、最後の文化祭も修学旅行もロボカップの大会も全部なくなった。高2は自分のすべてを賭けて部活に打ち込んだつもりでしたが、これでやっと報われた!努力が実った!と大きな達成感を感じました。

杉森 今後、世界大会はあるけれども、日本大会で優勝していなければその時点で部活動も最後になっていたんだなあ、といろんな気持ちが入り混じりました。

  僕は冷めていました。なかなか実感が湧かなくて。優勝を告げられた時も「夢かな!?」と。帰宅して、親にこのことを話してからようやく実感が湧きました。そこからはうれしかったです。

チームについて聞かせてください。物理部チーム「Re_X」とはどんなチームですか?

西  仲がいいですね。高3のメンバーとは中1から6年間、高2のメンバーとは5年間の付き合いになりますから。お互いに何でも言い合えるし、失敗しても責められることがないから、楽しくやれるチームです。

杉森 ロボットは分業制で作るんです。ところが、チームはこれまで1人1台を作ってきた人間の集まりです。回路、プログラム、設計…メンバー全員がロボット製作の基礎を一様に学んでいるので、分業がうまくできるチームといえます。

帯刀 過去にロボット製作を一通り経験してきたメンバー同士ですから、他の役割の人ともうまく協働できますね。一通りやった経験がなければ相手の役割が理解できずに、分業制はモメる場合が増えますから。その点、このチームはとてもスムーズです。

  うまく協働できるので、+αの一人勉強をできるだけの余裕が生まれました。そこで、自分の好きなことのモチベーションを上げていけました。

帯刀 このチームメンバーでなければ優勝できなかった、そもそも部活動自体がなければここまでこれなかった、と感謝しています。

ビデオプレゼンの動画画面より(左)(右)

ビデオプレゼンの動画画面より(左)、日本大会優勝の瞬間(右)

 

(【特集】世界大会総合第2位 物理部チーム「Re_X」インタビュー3へ続く)