ノーベル物理学賞受賞者 天野 浩 氏 特別文化講演会
2016/03/14
3月11日(金)、世界初の青色発光ダイオード(以下、青色LED)を開発され、2014年にはノーベル物理学賞を受賞された名古屋大学教授の天野 浩氏をお迎えして特別文化講演会を開催しました(ノーベル物理学賞は赤崎 勇氏、中村修二氏との同時受賞)。
会場には本校の高校1・2年生約550人の他、三田市内の他校高校生約70人、来賓約20人、さらに教職員も加えた700人前後の聴講者が集まり、大きな期待感が会場を包み込む中で天野先生がステージに上がられました。
「世界を照らすLED」と題された講演は、「世界中の誰もが安心して暮らせる社会をつくること」という研究者に課せられた使命の話から始まりました。世界的視野では難民やテロへの対応から地球温暖化対策まで、そして国内では経済活性化のカギと、今解決が急務となっている極めて現代的な課題を概観。その上で、ビル・ゲイツ氏や故スティーブ・ジョブズ氏らの起業時年齢を引き合いに、「世界を変えるような仕事をする人は20代で人生を変える選択をしている」さらに「若い人が将来幸せな生活を送るためには、自身がこれからの世の中を変えないといけない」と会場にいた高校生たちに鮮烈なメッセージを投げかけられました。
続いて、子供の頃から研究者の道に進まれた頃までのご自身の歩みを振り返られ、大学で「人を助ける、人の役に立つのが学問」だと気付き、誰かに教えてもらうのではなく自ら主体的に勉強していった結果、自分にしかできないこと、前人がやったことのない新しい何かとして「青色LED」に出会った。といった高校生にはとても大事な話を、彼らが身近に感じられるように伝えられました。
講演の後半では、ご自身のノーベル賞受賞に結び付いた青色LEDの開発秘話を軸に、ここでも自分の意志で物事に取り組むことの素晴らしさや楽しさ、そしてその時々の自分を救ってくれた“人とのご縁”の話が語られ、一方では現在の社会的インフラの必須技術的要素ともなったLEDの現代的課題にも言及されました。
最後に、この講演で天野先生がもっとも伝えられたかったことを「挑戦•自立•貢献」というメッセージに集約。高校生だけでなく会場のすべての人にチャレンジすることの大切さを再度アピールされ、本校生徒会からの花束を笑顔で受け取って講演を締めくくられました。
なお、当日は東日本大震災からちょうど5年目の日にあたり、講演に先駆けては震災の犠牲者に向けて会場全員でしばしの黙祷を捧げました。